クライアント様の許可を得て、個人情報の守秘義務を遵守し、
出来る範囲でコーチングの事例を紹介していきたいと思います。
二回目の今日は「会議がこわい」です。
会議がこわいと思ったことがある人は少なからずいらっしゃるのではないでしょうか?
会議というのは、普段、顔を合わせているメンバーだけでなく、
いつもと違った人が集まったり、直属の上司以外の管理職が参加することがあるかもしれません。
なんとなく、背筋が伸びる気持ちになったり、緊張したりするものですよね。
背筋が伸びる程度なら、良いのですが、
緊張のあまり、本来の自分でいられなくなり、自分を小さくしてしまったり、
あるいは、自分を大きく見せてしまったり、、、
誰にでも起こりうる悩みとも言えます。
「会議がこわいんです。」と相談してきたのは、
誰もが知るような大手外資系企業(専門性を要するメーカー企業)
で部長クラスの女性管理職です。
ここで、驚かれる方がいらっしゃるかもしれません。
え?部長クラスで会議がこわい、なんて!!と。
実は、そんなものなのです。
人生の課題というのは、同じテーマが繰り返しやってくるものです。
業(ごう)とか因縁と呼ぶ方がしっくりくるかもしれません。
そんな繰り返し立ちはだかる壁を繰り返し乗り越えていく。
まるで、螺旋階段を上っているように同じテーマをぐるぐると登っていく。
そのようにしながら、精神的に成長し人間力が高まっていくのです。
そんな前提を踏まえて頂き、コーチングの内容を一部抜粋させて頂きます。
以下より、ク)はクライアント、コ)はコーチの略称になります。
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コ)今日はどんなテーマでお話しますか?
ク)実は会議がこわいと感じているんです。
コ)どんなときにこわいと感じるんですか?
ク)特に感じるのは、私の知らない専門用語が飛び交っていると、かなり焦りますね。
コ)○○さんのお仕事で、全ての専門用語を把握するのは至難の業ですよね?
ク)そうなんです!分かっているんですが、どうしても全てを把握しておきたい気持ちが沸いてきて。
コ)全てを把握しておく、というのは可能なんですか?
ク)・・・・・相当、勉強しなければならないですね。
実際、会議が終わった後、分からなかった用語を必死に調べたりもしてます。
コ)その勉強を続けるのは、可能なんですか?
ク)・・・・・可能かもしれませんが、無駄、ですね。
コ)無駄とは?
ク)専門的に仕事をしているメンバーに任せておいたら良い範囲もあるので。
コ)それでも、知らない専門用語が出ると、焦っちゃいますか?
ク)・・・・・そうですね。なんなんでしょうね。頭では分かっているのに。会議では、その瞬間がくると、急に背中から汗が出てきて、、、
コ)その瞬間について、詳しく話して頂けますか?
ク)専門用語が飛び交い始めると、話の内容が分からなくなるんじゃないか、と恐怖に感じるんです。
あとで、部下に相談されても答えられない自分を想像してしまって。
コ)そのとき、どんな気持ちがしますか?
ク)すごく焦っています。上司なんだから全てを把握していなければならない、って思ってるので。
コ)上司として?
ク)・・・・・いや、人として、かもしれません。ずっと、誰よりも優秀でなければならない、と思って生きてきたので。
コ)そのままでマネジメントしていくとどうなりそうですか?
ク)・・・・・とても苦しいですね。周りの人はみんなライバルのように感じて。息がつまりそうです。ずっと戦ってる感じです。
コ)自分自身はどんな存在になっていますか?
ク)・・・・・なんか、ずっと戦ってきましたね。女武士みたいな感じです。
なんで戦ってきたんだろう。私達の世代は男尊女卑が当たり前の中で仕事してきて、
女性の権利を獲得してきた歴史がある。
コ)そうすると、世界は「男尊女卑」だ、という感覚が未だに残っている?
ク)そうですね。いまだにそれを引きずっているのかもしれません。
今は、外資ですし、ジェンダー平等にはとてもうるさい会社ですから、
そんなことないんですけどね。
コ)誰よりも優秀でなければならない、女武士のように戦わなければならない、
なぜならこの世は「男尊女卑」だから、という感じでしょうか?
ク)うわっ、すごく嫌ですね。それ。
コ)嫌、って感覚、すごく良いと思います。
それらは不必要になった「思い込み」ですよね。
そうしたら、どんな風に変わったら良いと思います。
ク)まずは男尊女卑ではなくなっている。多様性の時代、ジェンダー平等の時代ですから。
多様性、、、だから、やっぱり多様な中で共創するんだと思います。
コ)そうですね!!そもそも会議の目的はそこなはずですよね!
ク)そうなんです!!本当は共創すべきだったんです。
だけど、空気的には誰が一番賢いか、みたいな競争になってた。
コ)それを変えたいんですよね。
ク)はい!変えたいです。誰よりも優秀でなくても良いですよね。
周りの人が本当に優秀な人たちばかりなんですから。
特に私の部下は本当に凄い人たちばかりなんですよ。
コ)凄い人たち!って感動できる心、それは大事にしたいですね。
ク)いや、本当に。外資っていうのもあると思うんですが、
うちの会社って、隠れた凄い人たちがいっぱいいるんですよ。
あ、また見つけた!って毎日のように思う。優秀な人材ばかりです。
コ)それ、○○さんの強みだと思いますよ。その発見した凄い人たちを
繋げるのが○○さんの役割なんじゃないですか?
ク)ああ~!!それ、まさに私のやりたいことだし、
うまくいってるときは、ずっとそればっかりやってました。
人と人を繋げる、それはすごく大事な仕事ですよね。
コ)戦う必要もなくなりましたね。女武士の役割も手放せそうですか?
ク)いや、手放したいです。戦うモードになった途端、辛いですし、仕事が回らなくなる。
コ)直感なんですが、この会社をひとつの生き物だとして、
○○さんの役割は「血液」なんじゃないかと思うんです。
身体(組織)中を巡って、色んな人のコンディションや能力を発見して感動して、
時には、繋げていく。
ク)ああ!まさにそれ!!いいですね!!
私は血液なんだから、動いていた方が良いんだ。昔は頭脳でしたけど、今は血液。
頭脳の部分は、他の人たちにお任せしてしまったほうが、全体として上手く回る。
そういうことですね!!
コ)○○さんの本来の役割に気付けて、本領発揮できそうですね。
ク)ありがとうございます!!
これからは競争ではなく、共創していける気がします。
私は血液のくせに頭脳をうらやましいと思っていたのかもしれません。
会議は情報収集するための場と割り切って、本来の役割をきっちりやりたいです。
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その後、次のセッションで会議がこわいと感じるときがあっても、一呼吸置いて、
自分の役割を認識すると立ち戻れると話してくれました。
「会議がこわい」と告白してくれたクライアント様。
これは、誰にでも大なり小なり経験のある気持ちだと思います。
古くなった思い込みや価値観を新しいものに置き換えていく、
そうすることで、楽になった事例でした。
彼女の場合、不必要になった「思い込み」は
「誰よりも優秀でなければならない、女武士のように戦わなければならない、なぜならこの世は「男尊女卑」だから」というものでした。
時代が変わったはずなのに、心が昔のように反応してしまう、
というのは、よくあることです。
一番大事なのは、それに気付くことです。
気付いて、それは「嫌だ」と感じることです。
その思いが、新しい自分へと変えるエネルギーになるのです。
ちなみにこの女性は当時、50代でした。人は何歳からでも変わることができますね。
他にもよくある「思い込み」の代表例として、
・完璧にやらなければいけない ・誰よりも賢くなければならない ・出世のためにもやらなければならない ・周りの奴は頼りに出来ないから自分で何とかしなければならない ・会社の上司のいうことは絶対である ・自分よりも会社(上司)を大事にしなければならない ・誰からも好かれなければならない ・みんなの話を聞かなければならない 等々
といったものがあります。
古くなったり、不必要になった「思い込み」に気付くには、こんな問いが役に立つかもしれません。
・その考えを持つことで、力や栄養になっていますか?
・その考えを持つことで、自然体のありのままの自分でいられず、
自分を大きくしたり、小さくしたりしていませんか?
自分らしく仕事ができない、本領を発揮できていないように感じる、
そんなとき、不必要になった「思い込み」を抱えていないか、今一度、自分と向き合ってみてはいかがでしょうか。
長文、読んで頂きありがとうございました。
感謝を込めて。