今年(2021年2月3日~2022年2月3日)は辛丑年です。
金性で陰の十干「辛(しんきん)」と、
土性で陰の十二支「丑(うしど)」が
組み合わさった干支です。
辛は宝石、宝玉、小石、砂利などを表し、
丑は晩冬の田園、平地、畑を表します。
そのため、辛丑は晩冬の土に埋もれた宝玉、宝石を意味します。
間もなく春を迎えようとする、雪解け間近の土の中に埋もれた
宝玉、宝石(まだ原石で磨かれていない状態)というイメージです。
過去3年間の大きな激しい時代の変化の流れが終わり、
暖かな春を目前にした希望の年となります。
それでもなお、季節は晩冬にすぎませんので、
まだまだ土は雪解け間近のべちゃべちゃな状態です。
その中に、まだ磨かれていない宝石の原石が眠っているのです。
辛丑年のポイントは以下の通りです。
◆「辛は「新」なり」と「丑は「紐」なり」
昨年、私達は、世界全体が大きく激しく変転変化する様を体験しました。
変化には「痛み」がつきものです。
多くの方が少なからず、痛みや傷を感じたことと思います。
その痛みや傷は声にならなかったかもしれません。
自分よりも大変な状況で、辛く苦しむ人たちがいるだろうから、
こんなことで不平不満を言っていられない、と気持ちを抑え込み、
言葉にできなかった傷や痛みを抱えてしまったことでしょう。
どうか、その傷や痛みに対し、愛や慈しみの眼差しで、
見て、感じて、接してみてください。
今年の「丑」は、優しさや思いやりといった「愛」でくるむような、
温かみのある干支なのです。
この学問では「辛は「新」なり」という言葉があります。
昨年までの時代の大きく激しい変転変化をくぐり抜け、
新しい状態に生まれ変わる様を示しています。
世にある様々な万物が、いったんは縮んで、
あらたまり、秀でた芽が新たに芽吹いていくのです。
そのとき現れてしまった矛盾や腐敗といった負の遺産を
鋭利な小刀で切除し、より本質を浮き彫りにしていきます。
過去に築き上げてしまった負の慣例や慣習といったものも、
圧倒的なパワーをもって、破壊し再生する時期でもあります。
また、この学問では「丑は「紐」なり」という言葉があります。
どんどん芽生えてくる秀でた新芽達は、
それぞれ伸びる方向がバラバラで、複雑に折れ曲がったりしています。
その新芽達を、「丑」の「紐」で優しく丁寧に縛ってあげることで、
新芽が伸びていく方向をそろえ、まとめて繋げることができるのです。
こういったことから、今年もまだまだ変転変化が続きそうです。
とはいえ、その変化は新しい時代の幕開けのような、
古い時代の夜明けのような、目の前には希望の光がぼんやりと見えている状態です。
生まれ変わったばかりの新しい時代は、まだまだ「赤ちゃん」なのです。
赤ちゃんを抱くときのように、「優しさ」で包んでいくことが今年のポイントです。
愛と慈しみをもって、あたたかな心持ちで変化を受容れることで、
新しい時代を育んでまいりましょう。
◆「牛も千里、馬も千里」
早くても遅くても、上手くても下手であっても、
結局は同じところに到達する、という例え。
牛がゆっくり歩いても、馬が早く走っても、
結局は千里の道は千里で、同じ目的地に辿り着くのです。
2021年は辛丑年です。「丑」は晩冬で、その土は泥濘(ぬかるみ)です。
泥濘で焦ってしまうと、足をとられて沈み込み、
「辛」の宝玉がますます土に埋もれてしまいます。
こういうときは、焦らず、急がず、じっくり、どっしりと構えることが肝要です。
「牛も千里、馬も千里」が如く、
必ず同じ目的地に着くのだから、焦らず、他者と比べず、
自分らしく生きること、そうすることで、今年は運気が伸びていきます。
また、ミヒャエルエンデが描いた「モモ」という童話をご存じでしょうか?
時間どろぼうが盗んでいった時間を取り戻すために、
モモと一緒に戦うのが、カシオペイアという名の「カメ」なのです。
カメの歩みでなければ、気付けない大切なこと、を見逃さないのです。
この童話では「牛」ではなく、「カメ」ですが、
丑年である今年は、こんなゆっくりとした歩みだからこそ、
気付ける大切なことを見逃さない、そんな年にしていくと良いでしょう。
◆集団意識と一人の時間のメリハリを
辛丑年は、品格と聡明さを併せ持った年でもあります。
その品格と聡明さは、仕事や学業といった公の場で
発揮すると良いでしょう。
また、「辛」には、目的意識、役割意識といった意味もあります。
目的意識をはっきり持った知的集団の中で自分の役割を全うする、
そのように過ごすと、今年は大きく飛躍することでしょう。
「辛」の聡明さや品格を磨いていくには、美しい言葉を選ぶことから始まります。
言葉は「言霊」であることを意識するのです。
美しい言葉を意識的に選んでいると、美しい生き方になります。
美しい生き方をしていると、また、美しい生き方をしている友と出会えます。
そのように結ばれた友が集まって集団をつくり、
美しい世界に向かうようなハッキリとした目的を持つことです。
始まりの年でもある今年は、新しいチームやグループを形成していくチャンスでもあります。
また、「辛」は宝玉、宝石ですが、まだまだ原石です。
知的好奇心で思考を刺激し、己を研鑽していくためには、
一人の時間をもつ、ということも大切になっていきます。
一人の時間があると、自分の内側を見つめる機会にもなり、
より本質的な理(ことわり)を見いだすことができるでしょう。
つまり、今年は、「集団」と「個人」の時間にメリハリをつけて行動することが鍵となります。
懇親会では、1次会でパッと済ませ、2次会、3次会まではいかない、といったことや、
今年もますます家族で過ごす時間が増えますが、
その中でも、自分一人の時間を作るように工夫していくことです。
一人の時間が、まだ原石である宝石に磨きをかけていくのです。
以上、辛丑年で見たポイントです。
ご自身の天中殺や運気など、個人の宿命によってテーマは変わってきますが、
これらを心に置いてより良く生きる在り方を探求し、良き一年をお過ごしくださいますように。
※掲載にあたっては、お師匠様の許可を頂いているものです。
長文読んでくださり、ありがとうございました。
感謝を込めて。